保育園を継続して利用するために、就労証明書を年に1度提出するタイミングがきたけど、就労実績欄をみたら労働時間が足りていない。このまま提出したら退園になってしまうの?
この記事では、妻と二人三脚で育児に取り組む筆者が、保育園に通園するために必要な親の労働時間のことや、労働時間が足りなくなったら検討すべきことについて解説しています。
ぜひ記事を読んで、通園のための親の労働時間について、不安や疑問を解消してください。
保育園に通園するための親の労働時間が足りない?
そもそも保育園を利用するためには、親の労働時間に関して最低条件があります。ここでは、親の労働時間について解説します。
「就労」を理由とした場合、労働時間は月48~64時間必要
保育園は、保育を必要とする理由がないと通園できません。保育を必要とする理由が「就労」の場合、保護者の労働時間は最低でも一月あたり48〜64時間必要です。現在はフルタイム勤務を選択されている方のほか、パートタイマーや夜間勤務を行う方も保育園の利用対象者となっています。この保護者の最低労働時間は、お住まいの自治体により異なります。
そのため、基本的には保育園に在園している方が、勤務形態の変更や労働環境の変化により所定の労働時間を満たさなくなった場合、退園となります。
しかし、子どもが新型コロナウイルスなどを始めとした感染症にかかったことを理由に保護者が勤務先を病欠したり、会社都合で一時的に月の勤務時間が減ってしまったりなど合理的な理由があれば、一般的にはすぐに退園になることはありません。
なお、保護者が重度の病気にかかり長期にわたって勤務先を病欠する場合は、保育を必要とする理由を「疾病」に変更する必要があるため、診断書などを添付して申請手続きを行う必要があります。
参考:内閣府|子ども・子育て支援新制度 なるほどBOOK(平成28年4月改訂版)
筆者は大田区に住んでいますが、大田区の最低労働時間を調べてみると48時間でした。
実際に自治体へ問い合わせしてみましたが、合理的な理由で一時的に労働時間が減ってしまった場合でも、即退園にはならないとの回答がありました。
労働時間とは、休憩時間を除いた「所定労働時間」のこと
保育園へ通園する際に申告しなければならない親の労働時間とは、出社から退勤までの時間から会社規定で定められている休憩時間を引いた「所定労働時間」の月間合計のことを指します。
例えば、午前9時に出社し、正午12時から1時間休憩して午後6時に退勤すれば、一日の所定労働時間は8時間となります。
例えば、週5日間の勤務(毎月20日間の勤務)ができるパートタイマーを想定してみましょう。
お住まいの自治体で親の最低労働時間が48時間と定められている場合、単純計算で一日の所定労働時間が2.4時間、最低労働時間が64時間と定められている場合では、単純計算で一日の所定労働時間が3.2時間となれば、保育を必要とする「就労」要件を満たすことになります。
労働時間で保育園を利用できる一日の時間が決まる
認可保育園や認定こども園あるいは小規模保育等の認可の保育は、親の労働時間次第で、一日の利用時間が最長11時間の「保育標準時間」と最長8時間の「保育短時間」の2つに分かれます。
保護者の労働時間が、おおむね月120時間以上であれば「保育標準時間」となり、月120時間未満であれば「保育短時間」の扱いとなります。
このように、保育園を利用するために労働時間の条件を満たしていても、実際の労働時間によって利用できる時間が限られる点について理解しておきましょう。
なお、「保育短時間」であれば保育料が若干安くなりますが、月ぎめ延長保育の利用ができないなど、一定の利用制限もあります。
これから入園の申込みをされる方の場合は、保護者の労働時間が少ないと、入園の可否に影響する保育の点数が下がります。
保育園継続にあたり労働時間が足りないことはバレる?
「就労」要件の親の最低労働時間について、もし実際に足りていなければ必ずバレてしまいます。次に、バレてしまう原因について解説します。
就労証明書の記載でバレる
保育園を継続して通園するにあたり、年に一度、会社員は就労証明書を自治体へ提出しなければなりません。
就労証明書とは「会社で働いていること」を証明する勤務先が発行する書類のことをいい、記載内容の一つに月間の実働時間や日数など就労実績が記載されます。
自治体は、在園可否の判断のため、この就労実績の値を確認しています。
直近3ヶ月から6ヶ月の間の労働時間が、事前に申告していた労働時間よりも少なければ、就労証明書を提出するタイミングですぐにわかってしまいます。
就労証明書の偽造は、刑事責任を問われる可能性があるので絶対にしてはいけません。
自治体での納税証明書の確認でバレる
保育料は、保護者が納める住民税額や保育の必要量を参考にして、毎年9月に住民税額の年度を切り替え決定しています。
切り替えの際は、保護者の納税金額を都度確認するため必ずバレます。
納める住民税額が少なくなった場合、課税対象の給与収入が減っていることが予想されるため、実質労働時間が減っていると判断されてしまうでしょう。
保育園から勤務先へ架電しバレる
園児の体調不良など有事の際は、保護者へお迎えを要請するため、保育園から勤務先へ直接架電することがあります。もし、保護者が当日休暇を取得していたり早退していたりすれば、必ずその時点でバレてしまいます。
保育園は保護者が働くことを前提に利用できるため、当日休暇や早退しているのにも関わらず子どものお迎えに来ない点を園や自治体から指摘されてしまうかもしれません。
保育士や周囲の人にバレる
多くの保育士は、服装や持ち物など保護者の雰囲気がいつもと異なることに敏感です。違和感を感じることが度重なれば、保護者の就労について疑念が生じ、勤務先へ確認されることに繋がりかねません。
そもそも、親が就労していないことに関して、子どもが保育士へ話してしまう可能性もあります。
また、勤務先へ出社せず、保育園周辺のスーパーなどの施設を利用していれば、他の園児の保護者に目撃され、園へ通報されてしまう場合があります。
地域は狭いもので、私も他の園児のママパパさんが日中プライベートを楽しんでいる姿を目撃したことがあります。
保育園継続の際に労働時間が足りなくなったら検討すべきこと
もし、保育園を利用するための親の最低労働時間を下回る場合、次のことを検討しましょう。
自治体へ相談し、申立書を提出する
必ず、まずはお住まいの自治体へ相談しましょう。心配な方は、匿名で質問すれば問題ありません。
基本的に、労働時間が一時的に少なくなってしまったからといって、すぐ退園扱いとなることはありません。ただし、自治体によって取るべき手続きが異なるため、自治体の職員の指示に従いましょう。
例えば、自治体によって、次のような手続きが考えられます。
・就労証明書の備考欄に、労働時間が足りなくなった理由を記載する
・翌月以降の就労実績を記載した就労証明書を再提出する
・就労証明書とは別に「申立書」を提出する
「申立書」とは、労働時間が所定の就労時間を下回ってしまった場合に、その理由を保護者が自治体へ補足するための書類を指します。「申立書」は自治体によっては提出が必須です。
その際、自治体独自のフォーマットがある場合もありますが、無い場合は必要事項を記載した文書を作成する必要があります。なお、病気が原因で勤務先を病欠した場合、通院の際の領収書やお薬手帳の写しもあわせて準備できれば説得力が増します。
一般的に、申立書には次の内容を記載しておくとよいでしょう。
①申立日付
②申立者氏名、児童との続柄
③保育園名、児童名
④申立内容
(例:「直近3ヶ月の就労実績が、最低就労時間を満たしていない理由が保護者と子どもの風邪など体調不良による旨」「〇月〇日~△月△日保護者が感染症にかかり5日間病欠していた旨」など記載)
筆者が住んでいる大田区は、労働時間が足りないことを理由に、申立書の提出は不要とのことでした。
認可外保育園、子ども園を利用する
病気や親の介護などの理由がなく、親の労働時間が自治体の基準にどうしても満たない場合もあるでしょう。その場合、親の労働時間が入園に影響しない、認可外保育園や認定子ども園の利用を検討しましょう。
認可外保育園の場合、自治体が運営する認可保育園と異なり、民間組織が運営するため、一般的に親の労働時間が入園の選考にあたり影響することはありません。
■認可外保育園
→認可保育所、認定こども園、地域型保育事業以外の保育を行うことを目的とする施設のこと
■認定こども園
→教育・保育を一体的に行う施設で、いわば幼稚園と保育所の両方の良さを併せ持っている施設のこと
既に保育園に在園されている方は一度退園となりますが、労働時間が増える見込みが立てば、改めて認可保育園への申込は可能です。
副業して労働時間を加算する
個人事業主として開業していれば、副業の時間も労働時間として加算できます。加算するためには、一般的に次のような書類を自治体へ提出する必要があります。
①就労状況申告書(各自治体のフォーマット)
②自営を証明するもの(例:登記事項証明、開業届、営業許可書等)
③収入を証明するもの(例:確定申告書、源泉徴収票等)
まとめ
以上、保育園の利用にあたって、親の必要労働時間や労働時間が足りなくなったら検討すべきことなどについてお伝えしましたが、いかがでしたか?
家族の風邪などの体調不良を理由に勤務先を病欠したり、会社都合で一時的に労働時間が必要時間に満たない場合でも、一般的にはすぐに退園になることはありません。
ただし、自治体によって詳細なルールや手続きは異なるため、必ず役所の担当者へ相談することが大切です。
ぜひ、速やかに正しい手続きを行って、親子ともに不安のない保育環境を整えてくださいね。
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