資産運用のメリット・デメリットとは?初心者が注意すべきポイントも解説

資産運用

資産運用して資産が増えれば、金銭的にも精神的にも豊かになるでしょう。

しかし、経済情勢によっては損失が発生する可能性があり、一定のリスクが伴います。
それでは、私たちはリスクを負ってまで資産運用を行うべきでしょうか。

この記事では、資産運用を行うメリットやデメリット、資産運用の種類、注意点について解説しています。

資産運用を始める方で迷われている方はは、ぜひこの記事を読んで、資産運用とは何かまずはご理解ください。

資産運用とは

資産運用とは、自分が持っている資産を預貯金や金融商品に振り分けて運用し、資産を増やしていくことをいいます。

短期的な目線で利益を獲得する「投機(=ギャンブル)」ではなく、あくまで長期的な目線で利益を獲得する「投資」の考え方が基本になります。

日本の年金制度は親世代の年金給付を現役世代が積み立てた財源で賄う仕組みを採用しており、日本は少子高齢化の進行により現役世代の負担増が予測されています。

その一方で、公的年金の給付水準は減少することが予想されており、加えて直近10年間の給与水準がほとんど変わらないことを考えると、今後収入が増加することは期待できません。

また、日本銀行は毎年2%の物価上昇を目標に政策を掲げており、今後さらに物価上昇が進んだ場合、今ある資産の価値が実質目減りし負担が増えることになります。

日本は超低金利時代を迎えており、銀行の口座に預けていてもほとんど利息がつかないことを考えると、老後のゆとりある生活資金を確保するためには多くの人が資産運用を行う必要があります。

資産運用のメリット3選

資産運用を行う主なメリットとして、次の3つが挙がります。

複利効果でお金を増やすことができる

「複利」とは、投資元金に加算される利子に、更にまた利子がつくことで雪だるま式に資産が増えていくことをいいます。

例えば、100万円を年利5%で運用できた場合、税金を考慮しない場合、10年間で162万円、20年間で265万円、30年間で432万円に資産が雪だるま式に増えることになります。

このように、運用期間が長期にわたるほど複利の効果が働き、最終的に大きな利益を獲得することができます。

インフレによる資産価値の目減りを防ぐ

インフレ(=物価上昇)が起こる場合、預貯金など保有している資産の価値は実質目減りすることになります。

例えば、手元に現金100円がある場合、Aという商品の価格が100円の時は購入できますが、5年後150円に値上がった場合、手元にある現金では買えません。同じAという商品を5年後100円では買うことができなくなり、つまり、手元の現金100円自体の価値が下がっていることを意味します。

資産運用を行い、手元の現金100円を増やすことができれば、インフレによる資産価値の目減りを防ぐことができます。

経済や税金の知識が身につく

資産運用を始めると、投資商品のことや為替相場や国内外の景気など、自然と気になり目を向けることになるでしょう。

自分に適した金融商品を選ぶため、各資産の特徴など資産運用に関する情報を自ずと探すことになり、さらに運用中では投資商品の日々の価格変動に注目することで、経済の仕組みや経済情勢を知る良いきっかけになります。

また、基本的に運用で得られた利益には税金がかかることが通常であり、税務署へ確定申告をしなければならないケースもあります。申告に伴い、税金の内容やお得な非課税制度についての知識も身につくでしょう。

資産運用のデメリットとは

一方で、資産運用を行う主なデメリットは次の2つが挙がります。

元本割れする可能性がある

投資商品は、運用成果によっては元本割れする可能性があります。投資商品の価格は、世界の経済情勢や投資家の行動などコントロールできない外部の要因に影響を受けます。

長期的にみると資産価値は回復するものの、これまで政治的な要因や大手企業の不祥事や破綻をきっかけに景気が低迷し、一時的に資産価値が下落することは過去に起きており、このような経済情勢を事前に予測することは誰にもできません。

リターンを得るには一定のリスクを負わなければならず、リスクを抑えながら資産運用を行うことが求められます。

多くの時間を費やす必要がある

資産運用は、世界経済が長期的に成長することを前提として、長期運用を行い利益を獲得することを目的にしています。

世界全体でみた経済はこれまで右肩上がりの成長となり、まだ成長余地のある新興国が数多く存在するため、今後においても更なる成長が予想されています。世界の経済は今日明日で発展する訳ではないため、世界経済の恩恵を受けるためには、長期的に運用する必要があります。

株式のデイトレードのように短期で売買することを想定していないことに注意しましょう。

また、一時的に元本割れしてしまった場合でも、長期的に運用することができれば資産価値が回復するまで待つこともできます。

なお、運用開始後は購入時手数料や運用管理費などのコストがかかり、投資元本を下回ることがよくあります。運用開始後間もなく、短期的に運用資産を売却・換金すると、損失が発生する可能性が高くなります。

資産運用の種類

資産運用において投資先である金融資産は様々あり、特徴が異なります。ここでは、代表的な金融資産を5つご紹介します。

株式

株式とは、株式会社が投資家から事業資金を調達することを目的として、発行するものです。投資家は株式を購入することで出資を行い、出資割合にて配当金を得たり、日々価格が変動する株式自体を売却し利益を狙います。

株式投資ならではの最大の特徴は、一定金額出資した投資家はその会社のサービスをお得に受けられる「株主優待」を受けることができます。

株式の価値を表す株価は、株式会社の経営成績が良いと投資家から評価された場合は上昇します。一方、出資している会社の経営が悪化すれば配当金や株価は下がる可能性があり、最悪会社が倒産すれば株式の価値がゼロになります。

債券

債券は、国や企業などの発行体が投資家から資金調達を行うために発行する、いわば借用証書のようなものをいいます。

債券は発行体により名称が変わり、国が発行する「国債」、地方公共団体が発行する「地方債」、企業が発行する「社債」に分かれます。

債券はあらかじめ定められた日に利息を受け取ることができ、さらに満期となる償還日になれば額面金額が払い戻されることが約束されているため、資金計画が立てやすい点が特徴です。

債券投資は価格変動は株式と比べると小さく、配当も基本的には約束されているため、一般的に運用のリスクは低いといわれます。「国債」のように発行体の信用度が高いほど、投資元本が償還される可能性は高く、安全性が高い金融商品といえます。

ただし、安全性が高い一方、運用利率は低い傾向にあるため、大きな利益を得ることは期待できません。

投資信託

投資信託とは、投資家から集めた資金をひとまとまりにし、その資金をもとに専門家が運用を行い、運用で得られた利益を各投資家へ還元する金融商品をいいます。

投資信託をわかりやすく説明すると、幕ノ内弁当に例えることができます。幕ノ内弁当には肉、魚または野菜など様々な具材が入っていますが、投資信託という大きなお弁当箱の中に、肉という株式、魚という債券が詰まっているイメージです。

投資信託のメリットとしては、1万円前後の少額から投資でき、専門家が投資対象の資産や銘柄を選んで運用してくれるため、投資に関する詳しい知識がなくても手軽に始められます。あらゆる資産や国内外の銘柄に分散投資してくれるため、自然とリスクを抑えた投資ができます。

一方、投資の専門家が代わりに運用してくれるため、基本的に投資信託は購入時や運用中あるいは売却時に一定のコストがかかります。コストが大きいほど、最終的に得られる利益が減少してしまいます。

また、投資信託は購入や売却するまでに数日間時間を要します。売買当日の単価となる基準価格を投資家が事前に知ることができない「ブラインド方式」を採用しており、決まった価格でタイムリーに売買することができない点には注意が必要です。

生命保険

貯蓄型の生命保険に加入し、保険料を支払うことで、将来的に解約返戻金や年金などを受け取ることができます。

貯蓄型の生命保険には、終身保険、養老保険、学資保険、個人年金保険などが該当します。また、保険料は毎月あるいは一括で支払う方法があります。

生命保険には保障としての機能があるため、万が一の際は大きな保険金額を受け取ることができます。

さらに、生命保険は基本的に返戻率があらかじめ決められており、加えて国債などの債券と比較して高い利回りが設定されている点が特徴です。

一方、生命保険の返戻率は保険会社が長期運用を行うことを前提に設定されているため、保険契約を中途解約した場合、元本割れしてしまう可能性が高いといえます。

不動産

不動産を取得し、不動産から得られる賃料収入や売却益による利益を獲得します。立地や周辺環境など適切な不動産へ投資すれば、継続して賃料収入を得ることができます。

また、不動産は銀行から投資用ローンを借りて購入することができ、少ない自己資金で収益性の高い投資が行えるレバレッジ効果が期待できます。

一般的に、不動産投資は知識や工夫次第で賃料収入をある程度コントロールすることが可能といわれますが、その一方で不動産に関する知識が必要不可欠となります。

また、不動産は数百万から数千万と多額の資金が必要となり、多くの場合は銀行からローンを借りて購入することになります。借金を背負う精神的負担を感じる方もいるでしょう。

なお、他の金融商品と比べ、不動産は売却までの時間を要すことにも注意が必要です。

資産運用の注意点

資産運用を始める前に、必ず次の4つを理解しておきましょう。

無理のない資金で運用する

資産運用では、前述した通り長期運用を前提とし利益の獲得を狙います。いざ運用を開始しても、急な入用でお金が必要になり換金してしまった場合は損失が発生する可能性があります。

生活資金は事前に別途確保しておき、必ずここ数年で使う予定のない余剰資金で運用しましょう。

分散投資を行う

分散投資を行うことで価格のブレ幅を抑えることができ、運用の安定性が上がります。分散投資には、資産の分散、銘柄の分散、時間の分散などが挙げられます。

投資の世界には「卵は一つのカゴに盛るな」という名言があります。全ての卵を一つのカゴに入れていた場合、そのカゴがひっくり返ってしまえば全ての卵が割れてしまいます。しかし、あらかじめ卵を複数のカゴに分けて入れておけば、仮に一つのカゴがひっくり返ってしまっても、他のカゴに入っている卵は割れません。

資産運用においてもこの卵の事例と同じで、一つの資産や銘柄に投資先を集中するのではなく、株式や債券、また株式でもA社、B社と複数の資産や銘柄に分散して投資することで、リスクを抑えながら資産運用を続けることができます。

目的を明確にする

資産運用の目的を明確にして、自分の目的を達成するために適した金融商品を必ず選びましょう。

例えば、国の制度である「iDeCo」を利用して資産運用を行うと、制度自体が老後資金の確保を目的としているため、原則60歳になるまで解約できずお金を使うことができません。

また、生命保険の場合、保険会社が長期的に保険料を預かることを前提に運用しているため、保険契約の満期前に中途解約すると元本割れすることが一般的です。

自分の場合どのくらいの運用期間が想定できるか、また運用方法は目的に合っているのか確認することが大切です。

リスクとリターンの関係を知る

資産運用の原則として、価格の下落幅を表すリスクが大きければリターンも大きくなり、反対にリスクが小さければリターンも小さくなります。

株式や投資信託などは、日々価格が変動し、一時的に投資元本を下回ることは多々あります。

自身の場合、どのくらいの資産価値の下落に耐えられるのか許容範囲を考え、そのリスク許容度をもとに投資先の金融商品を選ぶと良いでしょう。

初心者におすすめの投資方法は?

投資初心者の方は、投資信託による資産運用がおすすめできます。

理由としては、投資信託は運用の専門家があらゆる資産や銘柄へ分散投資してくれるため、自然とリスクを抑えた投資ができるからです。さらに、1万円前後の少額から購入できるため、投資のハードルが低いといえます。

また、資産運用で得られる利益に対しては通常約20%の税金がかかることになりますが、国の制度である「つみたてNISA」を利用して投資信託を購入すれば、運用対象から得られる利益については非課税となり、利益全額を受け取ることができます。

この「つみたてNISA」は2024年1月から制度拡充し、非課税枠の上限が年間120万円、一人あたり累計最大1,800万まで上がり、かつ非課税期間が無期限になるなど、資産運用においてさらに有利な制度となります。

他にも近年は、AIを活用して投資アドバイスや運用を自動的に行ってくれる「ロボアドバイザー」と呼ばれるサービスも登場しています。質問に答えるだけで購入すべき商品銘柄とその割合を自動で選んでくれ、最適な資産配分に合わせてバランスよく購入し続けてくれるため手間がかからず、初心者の方にもオススメです。

まとめ

以上、資産運用を行うメリット・デメリットや、資産運用の種類、注意点についてお伝えしましたがいかがでしたか。

資産運用は世界経済成長の恩恵を受けるため長期運用が基本になり、インフレによる資産の目減りを防いだり、金銭的余裕が生まれ豊かな人生を送ることにも繋がります。

まずは無理のない資金で、資産運用の一歩を踏み出してみてくださいね。

この記事を書いた人
ゆうた

2歳娘の子育てに励む30代パパ。

約10年間金融業界で務め、銀行マンや個人の家計相談などを経験。
その後、娘が生まれ育児休暇を取得。育児は心身ともに負担が大きいことを実感し、同じ子育て世代の悩みや不安を解決したいと考え、子育てやお金のコンテンツを発信している。

育休明けは家族との時間を増やしたいと思い転職。現在は妻と共にフルタイムで共働きであり、娘を保育園へ送迎する。

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